轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしつしょうくばいさよう
異質触媒作用
寺田 寅彦
「文芸」1933(昭和8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,360 字 · 13 页
歩かなくても電車や汽車やバスでどこまででも行けるではないかと云われるが、しかしそういう好季節の好天気の休日の交通機関に乗ってゆっくり腰をかけられるチャンスは少ないし、腰かけられたとしても、車内の混雑に起因する肉体的ならびに精神的の苦痛は、目的地の自然から得られる慰藉によって償われるかどうか疑問である。
おそらく十年の前から年々にこんな苦情を繰返していたのであるが、つい最近になってふとこの苦情を一掃するような一つの方法を発明した。発明と云っても、それは多くの人には発明でもなんでもない平凡至極なことであるが、しかし自分にとっては実に重大なる発明であり発見であったのである。
それは、外でもない。三時間か四時間だけ自動車を一台やとって、道路のいい田舎へ出かけてどこでも好きなところで車を止めて土が踏みたければ踏み、草に寝たければ寝るということである。近頃の言葉で云えばドライヴを試みることである。
自動車で田舎へ遊山に出かけるというようなことは非常な金持のすることで吾々風情の夢にも考えてはならない奢りの極みであるような気が何となしにしていた。二十年前にはたしかにそうであったにちがいないが、今ではもうそれほどでもなさそうに思われた。