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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

それで目が醒めた。気がついてみると、空気窓からは明るい日の光がさしこんでいた。時計を見ると、午前九時。

「なんだア」

まだ早いのに……と、私は不満だった。

「朝っぱらから伺いやして……」

と、扉の向うでしきりに謝っているらしいのは、どうやら壮平爺さんの声だった。私は思わず、ギクンとした。

扉を開いてやると、転がるように壮平爺さんが入ってきた。顔色は真青だ。不眠か興奮のせいか、瞼が腫れあがっている。

「早いもので、ボーイさんも相手にせず、電話も通じて呉れないんで……」

と老人は恐縮した。

「なんだネ、こんな朝っぱらから」

私はチェリーをとって口に銜えた。

「イヤ政どん、今日は早朝から、わしも大騒ぎさ。アノ、カンカン寅の一家が、わしのところへ押し寄せてきやがった」

「ほうほう」私は紫の煙を、天井高く吹きあげた。美しい煙の輪がクルクル廻る。

「昨日はてんで相手にしなかったあの海岸通の建物を買うというのさ」

「うん、うん」

「わしは腹が立って、手厳しく跳ねつけてやったよ。あれはもう売っちまった。もう遅いよとナ。すると、それはいかん、是非こっちへ売れという。それは駄目だと、尚も突っぱねると、向うは躍気さ。