轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
「改造」1939(昭和14)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,578 字 · 65 页
親戚の者たちが寄り集まって、思案の種にしているのは、寿女の身の振りかたに就いてであった。尾久の嫂は、いつもの優しい丁寧な口調で、子供や職人達に手がかかるので、せっかく寿女を引きとっても、よく面倒みられないから残念だと言った。併し、結局、親戚共に説きつけられて、尾久の家では寿女を引き取ることに話が決まった。
尾久の家は、すぐ裏が塗料工場になっていて、目かくし塀に沿うた路地から職人たちは出入りするようになっていた。
路地の向うは溝になっていて、板が渡してあったし、その向うは十坪ばかりの空地で、亜鉛板の錆びたのが積み重ねてあったり、瀬戸物のかけらだの、炭俵のぼろだのが捨ててあった。極く天気のよい日が続いても、この空地は乾いたことがなく、黒い土がグショグショしてみえた。時折り、この空地にゴム長をはいた人がきて、伸子張りをはじめる。寿女は、二つになる末の子の守りをしながら、縁側からそれを眺めている。短い目かくし塀の下からは、ちょうど、ゴム長の人の伸子をはめこんで行く器用な手つきが見える。それは、面白いくらい速い。寿女は、また、土にめりこんだ瀬戸物の真っ白いかけらへ呆んやりと眼をうつした。