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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

バアサンは二人をケムにまいて堂々と退去したのである。

二人が茫然としているところへ、お握りジイサンがお疲れ見舞いにやってきた。

「明日の日程は、どうすべね」

「疲れすぎたから、明日は休みたいが」

「そうだ。そうだ。急いでやることはねえ」

「時にジイサン。お隣りの娘は精神病だそうだね」

「当り前さね。今さら気がつくことはなかんべ」

「なぜ」

「この温泉へ家族づれで来る客のうち一人はキ印さね。大昔からキ印の温泉さ。滝にうたれているのがみんなキ印さ。真人間は滝の裏に便所見つけねえだよ」

「なるほど、そうか」

「お宅サマの倅も気の毒になア。ま、ゆっくり養生しなさい」

お握りジイサンが退去すると、初音サンがふきだした。笑いがとまらないのである。梅玉堂もつりこまれて、しばしは笑いがとまらなかったが、気がつくと、それどころではない。二人がすでによろしき仲になっていたとなると、あのバアサンがこれを見逃してくれる筈がない。あの娘をヨメにもらわなければおさまらないような雲行きである。

待ちかねているところへ、一夫が娘との長い散歩から戻ってきた。

「お前、あの娘と肉体の関係ができたわけじゃあるまいな」