轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しろいかげ
白い影
小川 未明
「婦人公論」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,097 字 · 13 页
「おまえの見た、白い着物を着た老人というのは、大男ではなく小さかったのか?」
警官は、これまで、大きな白い男が、影のように線路の上に立って、幾たびか汽車を脱線さしたり、また止めたりしたといううわさを聞いていましたから、いま小さな白い男だと聞いて、異様に感じたからであります。
「私たちの見たのは、白い小さなおじいさんでした。」と、両方の運転手は、はっきりと答えました。
「いつ、そんなに小さくなったのか?」と、警官は、くびをかしげました。
「そのことは、私たちに、わかりません。」と、運転手は、おそるおそる答えました。
この白い影が、この町に入ってきたことは、どんなにみんなの生活の上に不安を与えたでありましょう。ほんとうに、ペストや、コレラが入ってきたよりもおそろしい、防禦のできない事実であったからであります。
しかし、白い影が、ある人の目に見えて、ある人の目に見えないという理由はない。それを見る人は、気候の関係で、また神経衰弱にかかったからではなかろうかというような解釈をした人がありましたが、実際において、気づく人と気づかない人との相違があるということに、ほぼ輿論はきまったのであります。