轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

――「正夫の童話」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页

青空文庫

毒ですよ、青梅は……。」

振向いてみると、向うの窓から覗いてる駒井さんの顔が、光につつまれてるように眩しく思われました。

けれど、近づいてゆくと、どうしたのでしょう、顔の色は蒼ざめ、眼はくぼみ、髪の毛だけが目立ってきれいにかきあげてあります。微笑んでみせたのが、泣顔のように見えました。

駒井菊子さんの室は、八畳ですが、へんにちぐはぐな感じです。衣裳箪笥とその上にある貰い物らしい京人形と、箪笥の横の鏡台とだけが、女らしいもので、そのほかは、粗末な本箱や机や灰皿やインク壺や柱掛の暦など、男の下宿部屋みたいです。

もっとも、芝田さんの家には、どの室にも、用を便ずるに足りるだけの道具きりありません。だいぶ前の話ですが、或る方面から家財道具の差押を受けた時、執達吏と芝田さんとの間に、明快な問答がなされました。――「軸物の類は、お待ちではありませんか。」「ありませんね。」――「なにかほかに、書画骨董の類は……。」「ありませんね。」――「何かありませんか。」「僕の家には、不用な物は一つもありませんよ。」――この最後の言葉を、チビは、ひどく感心していましたが、それも、正夫のところの中根のおばさんに云わせると、不用な物が一つもないというのは、趣味がないことであり、趣味がないのは、人間としての、一つの欠点となるのだそうです