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はくとうのうた
白塔の歌
豊島 与志雄
――近代伝説――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,450 字 · 43 页
宴席での方福山の活躍は、料理よりも一層見事でした。彼は背が低く、食卓に屈みこんでいるので更に低く見えましたが、それが却って、強い眼の光と相俟って、容易ならぬ人物だと思わせるのでした。その顔は細長い方で、頬から下へゆくにつれてふくらみ、口の両側に贅肉が目立ち、※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)下の皮膚が垂れて、それが半ば襟に埋まっていました。そして彼は極めて素早く飲み食いし、あたりの人々にたえず話しかけました。一方に呂将軍がおり、他方に方家同族の老人がいましたが、方福山は始終両方へ顔を向け、少し離れてる高賓如大佐や荘一清などへも呼びかけました。食物のこと、風俗のこと、上海のカニドロームやハイアライのこと、広東の黒人風呂のこと、印度奇術のことなど、ただとりとめもない事柄で、それを彼は旅の土産話として聞かせるのでした。そしてあちこちへ向けられるその眼には、時折、穏かな笑顔を裏切って、それらの話とは全く別個な、そして六十近い年配とは思えないなにか底強い光が、人の肺腑を貫くようにちらと輝きました。
彼のそばで、呂将軍は山のように泰然としていました。