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しらかべのうち

白壁のうち

小川 未明

「コクミン二年生」1946(昭和21)年8月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,078 字 · 3 页

青空文庫

道の両がわに、かぼちゃ畑があって、黄色な花が咲いていました。くまばちが、みつをさがしに、花の中へはいったり、出たりしていました。頭の上で、日の光が、きらきらとしたが、あちらの青い空には、白い入道雲が、もくもくと出ていました。

私は、赤いほうせんかの咲いている裏口をはいって、元気よく、

「ただいま。」といいました。

すると、やさしい声で、

「お帰りなさい。」と、お母さんが返事をなさいました。そして、にこにこしながら出ていらっしゃったのは、おばあさんでありました。

「暑かったろう、さあ、はやく顔をお洗いなさい。」と、おっしゃって、帽子や、かばんをはこんでくださいました。

晩方、私は往来で、お友だちと遊んでいました。夕日があかあかと、遠く、白壁にうつっていました。

このとき、包みを肩にかけた、ひとりの旅人が通りかかり、つかれたようすで、汗をふきながら、

「ここから浜まで、まだだいぶありますか。今夜、舟に乗ろうと思うのですが。」と、たずねました。

「二里ばかりあります。」と、私が答えると、

「この道を、まっすぐいけばいいのですか?」と、聞きました。

「そうです。つきあたったら、右にいきます。