轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はっけっきゅう
白血球
豊島 与志雄
「良婦の友」1921(大正10)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,538 字 · 24 页
固より前からも、変な噂があって居つく人がなかったのだが、晋作一家が暫く落付いてるので、近所では不思議に思ってると、果して怪しい噂がまた立ってきた。自分はそれをちらと耳にしたのだが、そういう事柄から往々古い犯罪の手掛りを得ることがあるので、どういう怪しいことがあるのか、それを尋ねに来たのである。――「御迷惑になるようなことは決してありませんから、単に参考のために、仔細を聞かして頂けますまいか。私一個人として伺うだけですから。」
晋作は微笑を浮べた。それから一寸躊躇した。
「何かお差支えがあれば、強いてとは申しませんけれど。」と刑事は云った。
その言葉が妙に晋作の気持に絡みついた。怪異に縁故があると思われて堪るものか、と考えたが、その憤慨の念が我ながら可笑しくなって、次には凡てをぶちまけてやれという気になった。
「怪しいといっても、何もはっきりしたことはありませんが……恐らく気のせいかも知れませんが、ただ……。」押入が不気味だということだけを、彼は細かく語った。
刑事は注意深く聞いていたが、晋作の言葉が途切れて暫くしてから、その押入を検べさしてはくれまいかと云い出した。