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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

私は悪魔の居所をよく存じておりますから」

「そしてその悪魔とはどんな悪魔ですか」

と紅木大臣は言葉せわしく尋ねました。青眼先生はこの問いを受けると又ハッと驚いた様子でしたが、やがて又何喰わぬ顔をして答えました――

「ハイ。その悪魔は世にも恐ろしい悪魔で、誰でもその悪魔の名前だけでも聞くと直ぐに悪魔に乗り移られて、自分が悪魔になってしまうので御座います。ですからその名前は申し上げられませぬ」

「では貴方はその名をどうして御存じですか」

紅木公爵夫人がこう尋ねますと、青眼先生はグッと行き詰まりました。そうしてさも苦しそうに返事をしました――

「それは私だけはその名前を聞きましても、又その姿を見ましても何ともないので御座います」

「まあ。不思議ですね。何か悪魔に乗り移られないいい工夫でも御座いますのですか」

「ハイ。それはあります。けれどもそれは私の家の先祖代々の秘密で、今申し上げる事は出来ませぬ。私の家は代々この秘密を守って、そして彼の昔からの掟――人の姿を盗む者。人の声を盗むもの。人の生血を盗む者。この三ツは悪魔である。見当り次第に打ち殺せ。打ち壊せ――という言葉を国中に広く伝えるのが役目で御座います」