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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
今眼の前に現われた、
赤い鸚鵡の他にない」
濃紅姫はこの歌を聞きながらソロソロと起き上って、隣りの室の戸口に来て、なおも耳を澄ましていますと、たった今まできこえていた鸚鵡の歌はピタリと止みまして、室の中に人の居る気はいも為ませぬ。
そうして思いもかけぬ後ろから、そっと姫の肩に手をかけた者がありますから、ハッとしてふりかえって見ますと、それは懐かしい藍丸王でありました。王は親切に姫の手を執って――
「お前はもうすっかり気分はよいのか。昨日の朝お前が気絶した時、俺は随分心配したが、最早すっかり治ったのか。それは何より嬉しい事だ。では最早夜が明けたから二人で花園に散歩に行こうではないか」
と仰せられます。濃紅姫は不思議に思って、今は冬で御座いますから何の花も御座いますまいと申しますと、王様は御笑いになって、まあ来て見るがいいと無理に姫を花園に連れておいでになりました。
来て見るとこれは不思議――春秋の花が一時に咲き揃って、露に濡れ旭に輝やいていますから、濃紅姫は呆れてしまって、恍惚と見とれていますと、王様はニコニコお笑いになりながら――
「どうだ、濃紅姫。