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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

ば眼を眩わして終う位でした。併し白髪小僧は少しも驚きませんでした。相も変らずニコニコ笑いながら悠々と娘の両親に案内されて奥の一室に通って、そこに置いてある美事な絹張りの椅子に腰をかけました。

ここで家中の者は着物を着かえた娘を先に立てて白髪小僧の前に並んでお礼を云いましたが、白髪小僧は返事もしませぬ。矢張りニコニコ笑いながら皆の顔を見まわしているばかりでした。

お礼を済ました家中の者が左右に開いて白髪小僧を真中にして居並ぶと、やがて向うの入り口から大勢の家来が手に手に宝石やお金を山盛りに盛った水晶の鉢を捧げて這入って来て、白髪小僧の眼の前にズラリと置き並べました。その時娘のお父さんは白髪小僧の前に進み出て叮嚀に一礼して申しました。

「これは貴方の御恩の万分の一に御礼するにも当りませぬが、唯ほんの印ばかりに差し上げます。御受け下さるれば何よりの仕合わせで御座います」

白髪小僧はそんなものをマジマジ見まわしました。けれども別段有り難そうな顔もせず、又要らないというでもなく、家来共の顔や両親や娘の顔を見まわしてニコニコしているばかりでした。この様子を見た娘の父親は何を思ったか膝を打って、