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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

そうして藍丸王と抱き合って挨拶をしたが、紅矢は抱き合った手を離すと直ぐに口を開いた――

「王様。昨日は私、本当に参りたくて参りたくて堪りませんで御座いましたよ。本当に私は一日王様にお眼にかかりませぬと、淋しくて淋しくて一年も二年も独りで居るような心地が致しますよ。今日はその代り何か面白い遊びを致しましょう。魚釣りに致しましょうか、馬乗りに致しましょうか。それとも山狩りに致しましょうか。私は何でも御供致しますよ」

と凜とした活発な声で熱心に話す顔を見ると、どんな者でも誘い込まれて、一所に遊びたくなりそうである。すると紅矢は不図、昨夜青眼老人が机の傍に置き忘れて行った鸚鵡の空籠を見付けて、驚いて眼を真円にして尋ねた――

「オヤ。この籠は空では御座いませぬか。あの赤い鳥は逃げたので御座いますか」

王はニコニコ笑いながら点頭いた。

「オヤッ。最早逃げてしまったか。憎い奴め。私がいろんな面白い芸当を教えておきましたのに。そしてどちらへ逃げて参りましたか」

藍丸王は矢張り黙って、昨夜鸚鵡が逃げ出した東の窓を指した。これを見ると紅矢は膝をハタと打って――

「ああ。解りました。