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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
それでも皆気を落さずに一心になって探し続けたが、やがて正午近くなって、人も馬もとある樫の樹の森に這入って、兵糧を遣いながら一休みしてからは、夕方ここで又会う約束で、四十人が四組にわかれて、四方の山や谷を残る処無く探した。けれども相変らず森閑としていて、眼指す赤い鳥は影も形も見せない。
中にも藍丸王の十人の組は、以前の樫の森から東側へかけて、夕方まで探していたが、最早日が暮れかかってもそれらしい影は愚か、小雀一羽眼に這入らぬから、皆落胆して疲れ切ってしまって、約束の通り最前の樫の樹の森へ帰ろうとした。
するとこの時不意にどこか遠い処で、鳥のような人間のような奇態な声で歌を唄っているのを十人が一時に聞いた。
「妾はここに居りまする。淋しくここに居りまする。
恋しい御方の御出でをば。御待ち申しておりまする。
青い空には雲が湧く。黒い海には波が立つ。
昔ながらの世の不思議。見たか聞いたか解ったか。
よしや夢でも現でも。妾はここに居りまする。
淋しくここに居りまする。妾の名前は赤鸚鵡」
皆は顔を見合わせて、それっというと俄に元気百倍して駈け出したが、どう為たものか十人が十人共、各自に一人は東、一人は西と違った方に声を聞いて、こっちだこっちだと云いながら、八方に散って行った。