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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

皆の者、よく見ておけ」

と云いながら鸚鵡に向って――

「ウウウウ。月が出たぞ」

と云い聞かせると忽ち今までの赤い眩ゆい光りが消え失せて、四方が真暗になった。その代り東の方の林の間には、黄色い大きなお月様が、まんまるくさし昇っていた。

皆の者は夢に夢見る心地がして、互にその不思議な術を驚き合いながら、この時やっと動くようになった馬に乗って、王の後に従って、月の光りを便りに王宮へ帰って行った。

八 象牙の机

贋せ藍丸王は狩場から宮中へ帰って、晩の御飯を済ますと直ぐに、家来に云い付けて、自分の室に新しい椅子を四ツ運ばせて、象牙の机の周囲に並べさせた。それからお傍の者を遠ざけて自分独りになると、入り口の扉を固く閉めて、閂を入れて、真暗になった中で一声高く――

「鸚鵡。鸚鵡。赤鸚鵡」

と叫んだ。

その声の終るか終らぬに、忽ち室の隅から真赤な光りが輝き出して、赤鸚鵡はさも嬉しそうに羽ばたきをしながら、室の真中の机の上に来たが、その眼の光りで室の中を見るとこは如何に……。今までこの室には藍丸王唯一人しか居なかった筈なのに、今見ると最前の森の中に居た四人の化け物――爺と、女と、赤ん坊とクリクリ坊主とが、四ツの椅子に向い合って、ちゃんと腰を掛けていた。