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ひゃくゆきょう

百喩経

岡本 かの子

「三田文学」1934(昭和9)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,474 字 · 21 页

青空文庫

一隊商が曠野で颶風に遇った時、野神に供うる人身御供として案内人を殺した。案内人を失った隊商等の運命は如何。

×××で雇い入れた案内者は不思議な男だった。

「ほんとうの案内者は殺されてから案内する」

こんなことをいった。みんなは大して気にも留めなかった。一つはこの案内者の見かけが平凡でそこらにざらにある雑種のアラビア人とちっとも違わないし、その上相当に狡くもあったのでただ出鱈目をいう言葉のなかに聞き流した。

自分の言葉に取り合われぬとき案内者はその平凡な顔の上にかすかな怒りを見せた。

隊商は出発した。沙漠は無限だった。駱駝の脚の下にむなしく砂が踏まれていると思うような日が幾日も続いた。太陽だけが日に一つずつ空に燃えて滓になった。

この広漠たる沙漠のなかを案内者は杖を振り先頭に立って道を進めた。自信のある足取で行路を指揮する権威ある態度の彼は立派な案内者だった。

砂丘の蔭に石で蓋のしてある隠し水の在所も迷うことなく探し宛てた。太陽が中天に一休みして暑さと砂ほこりにみんなが倦み疲れる頃を見はからい彼は唄をうたった。

いつか一度は

さかなになって

水のお城に水の酒