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えいきょ

盈虚

中島 敦

「政界往来」1942(昭和17)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,655 字 · 16 页

青空文庫

、第4水準2-85-14)が戚の地に入ると直ぐに、母親と共に父の許に赴き、其処で一緒に暮らすようになったのである。志を得たならば必ず此の子を太子にと、は固く決めていた。息子の外にもう一つ、彼は一種の棄鉢な情熱の吐け口を闘※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)戯に見出していた。射倖心や嗜虐性の満足を求める以外に、逞しい雄※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)の姿への美的な耽溺でもある。余り裕かでない生活の中から莫大な費用を割いて、堂々たる※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)舎を連ね、美しく強い※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)共を養っていた。

孔叔圉が死に、其の未亡人で※(「萠+りっとう」、第3水準1-91-14)※(「耳+貴」、第4水準2-85-14)の姉に当る伯姫が、息子のを虚器に擁して権勢を揮い始めてから、漸く衛の都の空気は亡命太子にとって好転して来た。伯姫の情夫・渾良夫という者が使となって屡々都と戚との間を往復した。太子は、志を得た暁には汝を大夫に取立て死罪に抵る咎あるも三度迄は許そうと良夫に約束し、之を手先としてぬかり無く策謀を運らす。