轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とうなん

盗難

江戸川 乱歩

「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年5月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,320 字 · 25 页

青空文庫

尤もそれはボーナス月で、私の様な貧乏人の財布にもいくらかまとまった金が入っているはずでしたから、女房の間違えたのも無理はありません。そして、何とそれが無事に通用したではありませんか。ハハハハハハ。どうです。一寸面白い話しでしょう。エ、どういう訳だと仰有るのですか。いや、そいつはその後別に調べても見ませんから、今以て分りませんがね。私の持っていた三百円がにせ物でなかったことだけは事実ですよ。あとの二枚も引続いて女房の春着代になってしまった位ですからね。

泥坊の奴あの時実は本物の札を盗んでおきながら、私の尾行を逃れる為に、にせ札でもないものをにせ札だといって、私をだましたのかも知れません。ああして、惜しげもなくほうり出して見せれば、それも十円や二十円のはした金ではないのですから、たれしも一寸ごまかされますよ。現に私も泥坊の言葉をそのまま信用してしまって、別段深く調べても見なかったのです。しかし、そうだとすると、主任をうたぐったのは実に済まない訳です。それから、もう一人の、泥坊を捕まえてやるといった巡査ですね。あれは一体本物なのでしょうか、にせ物なのでしょうか。