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すもうとりきがく

相撲と力学

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1908(明治41)年5月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846 字 · 2 页

青空文庫

されば敵手の身体の何処を捕えて何処に力を加えるが有効かという四十八手の裏表には数学者のひねり出した力学上の原理が籠っている、力士は知らず識らずこの原理を応用しているのだ。更に四十八手を分析したら槓杆の原理のみならずあらゆる力学上の原理の応用が見つかるに相違ない、例えば体量の少ない力士が大きい敵手にぶつかる場合には速度の大小でどれだけの効果があるかという事あるいは敵の運動量を利用して強敵を倒す事など物好きな学者の研究によって明らかになりそうな事である。西洋にはこういう事にも熱心な学者が多く、玉突、テニス、砲丸投等の技術を力学的に研究した例は乏しくない。相撲が特有の国技である以上はどうか我国の学者の研究によって四十八手の力学を明らかにしたいものだ。(明治四十一年五月二十八日『東京朝日新聞』)