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しんぼうとおしょうさま

真坊と和尚さま

小川 未明

「台湾日日新報」1936(昭和11)年10月31日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,028 字 · 5 页

青空文庫

彼は、このあいだから、一人で、はちの巣に向かって石を投げていたからであります。

「いいよ、しかられたら、僕だとおいいよ。」と、真坊が、いいました。

「真ちゃん、しかられたっていいのかい。」と、ほかの子供たちが、ききました。

「僕は、ゆかないから。」と、真坊が、いいました。

「真ちゃん、ラジオ体操にゆかないの? 休まずにいくと、ご褒美がもらえるのだよ。」と、常ちゃんが、いいました。

明くる日、ラジオ体操に真坊の姿は見えませんでした。もう二、三日で、終わりになるのです。

ところが、いちばん最後の日に、真坊は、やってきました。友だちは、しばらく見なかった真坊がきたので、そばへ寄ってきて、

「真ちゃん、どうしたんだい。ご褒美は、昨日みんながもらったんだよ。」と、いいました。

「メダル?」と、真坊は、つまらなそうな顔つきをしました。

「ううん、ミルクキャラメル。」

「キャラメルなら、ほしくないや。」と、真坊は、にやりと笑いました。そして、体操が終わって、帰るときです。どこから出てきたか和尚さまが、

「こら、真坊! おまえのはここにある。」と、いって、ミルクキャラメルを下さって、真坊の頭をくるくるとなでられました。