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むじゅんのいちけいたいとしてのしょぶんかそしき
矛盾の一形態としての諸文化組織
宮本 百合子
「三田新聞」1937(昭和12)年8月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,718 字 · 6 页
この賞に当っても、嘗て会員によって推薦された作品が、所謂左翼的立場に立つ作家によって書かれているものであるという理由で、投票破棄になった事実は周知のことである。
もし真に文学の発展を期するのであれば、日本の文学史の上に一つの新たな芸術運動をもたらした左翼的作家の業績も、当然アカデミーによって評価せられなければならない筈である。それは決して為されない。そういう要求を明言することさえ野暮であるというのが一般の通念である。山本有三氏の芸術を愛する者の心情は或は菊池寛氏の腰を据えた常識を愛する者の気分より現代の日本に貢献するところが多いかもしれないにかかわらず、山本氏は「一部の異論」で芸術院会員になれなかった。それらの現実にむき出されている矛盾が、おのずから、これらの諸文化団体を含む支配的傾向の特殊な一面性を告白しているのである。
伝えきくところでは、長谷川如是閑氏が「新日本文化の会」の会長になるそうである。『日本評論』の匿名リレー評論をよむと、日本の思想界を次の時代にひきいてゆく力量をもった綜合的思想家としては如是閑氏を措いて他にないように云われている。