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しられざるアメリカ
知られざるアメリカ
中谷 宇吉郎
「心」平凡社、1955(昭和30)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 9,617 字 · 20 页
それにつづいて、ウィルメットという町があって、其処に私の通っていた雪氷永久凍土研究所が、新設されたのである。私たちの住んでいたウィネツカは、そのまた北方にあって、シカゴの中心からは、約二十マイルくらい離れている。住宅区域は、これからまだずっと北にのびているので、大体阪急沿線くらいの範囲にわたっていると見てよい。
シカゴは丁度大阪に相当する街で、アメリカでも一、二を争う商工業の中心地である。銀行の人の話では、現金を二十万ドル以上銀行に遊ばせておく人の数は、シカゴの方が、ニューヨークよりも多いそうである。人口からいったら、ニューヨークの方が、比較にならないほど多いのであるから、シカゴは非常な金持の街といっていいわけである。
シカゴにオフィスをもっている金持たちは、たいていこの北部の住宅区域に、住居を構えている。そういう意味でも、これは丁度阪急沿線に相当するわけで、私たちの住んでいたウィネツカの町は、いわば芦屋か六甲にあたるところである。もっとも家並みはずっとつづいているので、外観上は、シカゴが何処までものびて行っている形である。エヴァンストン、ウィルメットなどという町は、単なる行政上の区分である。