轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしころ

石ころ

山本 周五郎

「富士」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,450 字 · 23 页

青空文庫

それはたしかだと父親も笑った。そして本当にそう望むなら自分にも少し考えがあるから、婚姻のはなしを纒めてみよう、そう云って立っていった。多田家は美濃のくにから出て武田氏に仕えたものだったし、秋山は譜代の重臣だったから縁談はなんの故障もなく纏った。そしてその月のうちに新蔵は別に屋敷を貰い、そこで祝言の式があげられた。……なにかと風評のあった二人の結婚はかなり人々をおどろかしたが、そうきまってしまえばあたりまえな話で、案じていたほどうるさい口も聞かずに済み、その年も暮れて天正二年を迎えた。

新蔵は無口な男だった。中肉中背のからだつきも、おっとりとした顔だちも、挙措動作も、すべてがきわめて平凡である。「尋常ならぬものがあるに違いない」そう信じて来た松尾は、その平凡さの蔭にかくれたものをみつけだそうとしてずいぶん注意していたが、三十日、五十日と経ってもなんのひらめきもみいだせなかった。寧ろいろいろと世評を裏づけることばかりが眼につくのである。或る日の午さがりだったが、良人の居間の掃除にいったとき、上段に飾ってある鎧のそばに白木の手箱のようなものが置いてあるのをふとみつけた。