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けんきゅうてきたいどのようせい

研究的態度の養成

寺田 寅彦

「理科教育 第一巻第七号」1918(大正7)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,454 字 · 5 页

青空文庫

とにかく児童には、知らないことが恥でない、疑いを起さないこと、またこれを起しても考えなかったり調べなかったりすることが大なる恥である、わるいことであるといった精神を充分鼓吹してほしいと思う。教師がこの態度になることの必要は申すまでもなかろう。

第二の場合には、教師は、そんなことを知らないのか、それはこうだといった風に事もなげに答えてしまう傾きがまた少なくないように見受ける。これはまた理科教育上極めて悪いことである。何となれば児童は知らないという事が大変悪い事と思って恥じ恐れて、それきり更になんらの疑問を起したり調べたりしないようになってしまうからである。ところが如何なる簡単なることでも実際よく調べてみるとなかなか六ヶしいことが多く、世界中の学者がよっても解決の出来ないようなことが少なくはないのである。たとえばビーカーをアルコールランプで下から熱すると水蒸気が出てそれがビーカーの外側にあたって冷却され、水粒がビーカーに附着する。これを見て児童はどうして出来るかと質問したときに、教師がそれをいいかげんに答えるのはいうまでもなく悪いが、これを知っている場合に、何でもないことだ、アルコールの燃える際に生ずる水蒸気がビーカーにあたって露になって着くのだといって、あまり無造作に片づけてしまうのは面白くないと思う。