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へきがんたくはつ

碧眼托鉢

太宰 治

――馬をさへ眺むる雪の朝かな――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,667 字 · 12 页

青空文庫

ボオドレエルに就いて

ブルジョア芸術に於ける運命

ボオドレエルに就いて

「ボオドレエルに就いて二三枚書く。」

と、こともなげに人々に告げて歩いた。それは、私にとって、ボオドレエルに向っての言葉なき、死ぬるまでの執拗な抵抗のつもりであった。かかる終局の告白を口の端に出しては、もはや、私、かれに就いてなんの書くことがあろう。私の文学生活の始めから、おそらくはまた終りまで、ボオドレエルにだけ、ただ、かれにだけ、聞えよがしの独白をしていたのではないのか。

「いま、日本に、二十七八歳のボオドレエルが生きていたら。」

私をして生き残させて居るただ一つの言葉である。

なお、深く知らむと欲せば、読者、まず、私の作品の全部を読まなければいけない。再び絶対の沈黙をまもる。逃げない。

ブルジョア芸術に於ける運命

百姓、職工の芸術。私はそれを見たことがない。シャルル・ルイ・フィリップ。彼が私を震駭させただけである。私は、否、人々は、あらゆるクラスの芸術を、ふくめて、芸術と言っているようである。つぎの言葉が、成り立つ。「それを創る芸術家に、金が、あればあるほど、佳い。さもなくば商才、人に倍してすぐれ、(恥ずべきことに非ず。)画料、稿料、ひとより図抜けて高く売りつけ、豊潤なる精進をこそすべき也。