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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

その証拠には、今まで多数の有名な学者に所長になることを頼んだが、どれもハネツケられたり注文に合わなくて立ち消えになったりしている。研究機関ではなくて良く云えば教悔機関、悪く云えば思想警察機関なのである。この頃では各府県庁に支所めいたものが置かれているので、どこにどういう怪しげな先生がいるかは、掌を指すように判っているということだが、要するに研究と云えばそうした「研究」をする役所であって、少くとも日本精神文化を研究する処ではない。

関屋旧局長が教育行政に就いてどんなに博学であろうとも到底日本精神文化の研究者の代表的な学者とは世間で認めないだろうが、別に研究家でなくても研究所員になれる「研究所」なのだから、この点不思議はないのである。だが文部省内に置いておけないような札付きの官吏だからして、ここの所長に最も適任だということは、どうも少し不思議な推論ではないかと思う。他のものはとに角、「思想」に限って不良官吏によって最もよく善導出来るのだとすると、善導の「善」という言葉には余程妙な、世間の道徳意識では一寸理解し兼ねる特別な意味があるのかも知れない。

だがどの途お役所のお役人のことであるから、世間の普通の文化水準から見るのでは見当違いになるかも知れないと思っていると、今度は文部省は相手方のもう一人の「不良」