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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

大学にして見れば、文部省に置いて困るから学長にして送ってやるというのでは、全く腹の立つことだろう。

処が学生代表の声明書なるものを見ると、「昨春の学生大会は、わが文理科大学の後任学長として西晋一郎博士を最適任と信じ吾等は是が実現の一日も速かならんことを熱望すと決議し、……実に西博士は創立以来わが学園のもつ我等が指標にして畏くも教育者に賜りたる勅語の『健全ナル国民ノ養成ハ一ニ師表タル者ノ徳化ニ俟ツ』と仰せられたる御聖旨に副い奉るもの、……西博士をわが学園の後任学長に任じて真に国民道徳顕現の源宗たらしめんことを冀う」、という如何にも師範学校らしい内容のものである。でここに完全に教育勅語的な文学博士西晋一郎教授という存在が横わたっているということが、新しくつけ加えなければならない条件となるのである。――だがこうなって来ると、話しはおのずから別になる。問題は西氏の「人格」と西人格の一群の崇拝者のミュトス(神話)とに帰着するのであって、文部省のやり口の不合理性とはあまり関係のないことになる。

問題はただ、文部省内部に於ける対立が、広島文理科大学に於ける、西閥(西教授の意志に反すると否とに関係なく)と反西閥との対立とが、偶々武部学長(?)を機縁として相応したまでであって、おかげで武部氏は如何にも反教育勅語的な人格に