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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

それに、大学に籍を置いて毎日教室へ出席している学生であっても、必ずしも学問や勉強をやっていると思ってはならない。まして彼等がそういう意志を有っているなどと決めてかかることは気が早や過ぎる。実はこんな楽な面白い生活はないのだから、大体之は一種の娯楽である場合が少くないのだ。少くとも学生という資格を有っている間は、大威張りで親から金も貰えるし、世間でも一人前の、いや一人前以上の人間として通用する。もしこうした特権に相応すべく、徴兵延期の特典が与えられる必要があるというのでない限り、逆に学生こそ徴兵のマイナスの特典に価するものでなければならぬと一応そういうことになる。

だから学生に徴兵上の特典がある限り、農民や労働者にだって、徴兵上の特典が必要である。個人の一身上の生活の必要から云ってある限度まで徴兵を延期して貰ったり何かすることは、農民や労働者にとってこそ必要なことでなければなるまい。

もし農民や労働者に、そうした特典が与えられれば、それはもはや特典でも何でもなくなって、極めて当然な当り前なことになるだろう。そうすれば又一々コセコセと「部分的な」徴兵忌避を気にする必要もなくなるわけで、それだけ少くとも、外見上の非国民は減って行くわけである。