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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

市会は無論之に承認を与えているのである。夫によると、第一に、従業員一万二百名全体へ一応解傭を云い渡し、之に退職手当二千万円(一人当り平均二千円)を支給した上で、全員を新規定賃金によって改めて採用するというのである。新規定の賃金というのは四割前後(最高四割五分に及ぶ)の減給に相当するのであって、之が適用される従業員数の内訳は、市電関係約七千人、自動車関係約二千人、電灯関係約六百五十人、工場倉庫関係約五百五十人である。第二は、市下級吏員の減員で、之は内勤外勤を合わせて百八十余名の整理となる。

第一の従業員大減給の結果、市財政から三百十万円が浮き、第二の吏員の整理で四十六万円を浮かせ、その他市債の整理で三百万円、電力自給によって二百四十五万円(但し之は五六年経たなければ実現しないが)を節約することが出来る筈で、合計九百万円程になるから、例の赤字は完全に克服されることになるというのである。退職手当の二千万円はどうして造るかと云えば、市債を新しく起こすのだそうだ、吏員は従業員とは異って労働者でなくその数も多くはないので(とでも云っておく他ない)整理されない人間は云うまでもなく、整理される当人達自身も集団的には之を問題にしていないから、世間も又吾々も、あまり之を気に病む義務を感じないのであって、問題はいつもこの市電