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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

はやや勘違いではなかったのかと気がつくのだが、併し人身売買の防止から出発して、青森県の例でも一等多数を占めていた女中出稼を奨励することは之は婦人会側の多少の勘違いを意味しはしないのか。尤も多少の勘違いはあろうがなかろうが、何も考えず何も実行しないよりは増しなのは云うまでもない。ただ要点は依然として婦人道徳の限界が災の種だということだ。

東朝系と東日系との義捐金競争は、之又涙ぐましい美談だろう。例の婦人団体を後援したものは東京朝日新聞であるが、東京日日新聞は之に対して「東北振興会」なるものを後援して遂に之を奮い起たせた。この会は東北地方の産業発展を目的とするために設立されたものだそうだが、それが東日に促されて初めて義捐金募集に乗り出したというのである。これ等の義捐金募集運動によって、都下の市民・小市民の醵出した義捐金は無論莫大な額に上る。

処で内務省の全高等官は今後半カ年間年俸の五分を割いて農村に捧げることを申し合わせ、農民ばかりではなく後藤文夫内務大臣をも喜ばせた。この風俗は官吏の全部に行き亘って、事務次官会議では、各省高等官は俸給月額の少くとも百分の一を醵出して農村に送ることを申し合わせた。