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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
することは出来ない。この実状に鑑み、中央党部が一日も早く自発的に上海市党部の撤収を断行することを期待する」と(七月九日東朝紙)。だからここで明らかなように軍部は外務当局の交渉振りの監視に任じているのである。単なる個人の意見として、右のような言明が出来る筈はない。――それに就中注目すべき点は、党部の撤収なるものは日本の軍部否出先軍部が、北支問題でもチャハル問題でも持ち出して中国側に容認させた根本要求の一つだということなのである。だからこの点で、不敬事件に就いては、北支事件――チャハル事件――不敬事件、という具合に話しがうまく続くのである。
軍部のこの監視振りは併し、上海に於ける日本人居留民にそのまま反映している。民団各路連合会では緊急会議を招集して当局(即ち外務当局)を鞭撻すべし、という意見が一時有力となり、軟弱外交(之が日本の外務省に関する伝説である)を文書で痛罵する者もあるというわけだ。併し海外に居留する日本人の動きなどは、××××××××すべきものではない。現地や局地に眼がくれて、それに植民地根性丸出しが多いから、一般社会的な問題にすべき現象ではない。