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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

一致、全国民の考えと一致するものと思う。いい換えれば狭義広義両方面の国防的見地から……」云々(東京日々四月十一日付)。陸相の体系によると、八大政綱の一切が、思想問題であろうと国民保健問題であろうと、産業統制であろうと、その他一切の問題が、この広義国防(とは即ち狭義国防のことであることを注意せよ)の見地から、系統的に演繹出来るというのである。祭政一致論議も国民生活安定も加味するの論も、この体系からの単なる個々の演繹に過ぎなかったわけだ。この体系を、今日世間では準戦時的体制と呼んでいる。林首相的表現に於ける八大政綱を如何につつき廻しても、こんな見事な体系を見つけ出すことは骨であるかも知れないが、陸相的表現を借りれば、一言にして明白になる体系だ。国民は、理論的首尾一貫と理論的指導性に於て、どっちの大臣の頭が優れているのか、眼が高いか、いやどっちの大臣の椅子の方が高いかを知るべきだ。

展望台がどこにあるかが判った以上、之に登って下々の人民共の世界を観望すればよいわけで、そこに展開する蒼生の風のまにまによろめく姿は、八大政綱を以て表現しようが、九大政綱を以て表現しようが、新政綱であろうが、旧政綱であろうが、変りはない。