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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
――日本の文化水準は一般的に、最近頓に停頓して来たし、特に又日本固有文化は決定的な衰退の途を、もはや引きかえすだけの勢をもっていない。宣揚する必要があるのは、日本固有の文化があまりに昂揚しているからではなくて恐らく、あまりに没落して行き過ぎるからかも知れない。
だが国際文化局という名が付いているからと云って、正直に、問題が文化にあるのだなどと思うと大間違いをする。問題は文化などという甘ったるいものにはないのだ。文化などは実はどうでもいいのであって、抑々日本は満州問題を惹き起し、国際連盟を脱退して非常時に這入ったのだ。そこでこの国際連盟を出た代りに国際文化局を当方で造ろうというのである。国際連盟はその文化委員会でさえが日本側が受動的だったのだが、まず第一にこの点を逆転して文化的に攻勢に出て、それをやがて「外交」の強硬化に合致させようというのが、この外務省国際文化局の使命なのである。だから文化のことなど実はどうでも良かったわけである。
併し何と云っても国際文化局という名が付いている以上、日本の文化の宣揚をしないというわけには行かず、従ってその結果は、おのずから、広汎な国際的文化交換、文化連絡をしないというわけには行かなくなる。