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そぼ

祖母

楠山 正雄

「赤い鳥」1921(大正10)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,258 字 · 7 页

青空文庫

祖母(そぼ)

楠山正雄

一 青めがね

一雄(かずお)は小学校へ行くようになって、やっと一月立つか立たないうちに、ふと眼病をわずらって、学校を休まなければならなくなりました。

それから毎日、一雄はお医者さまからくれた青い眼がねをかけて、おばあさんと二人――まだ電車のない時分でしたから――合乗(あいのり)の人力(じんりき)で、眼科の病院へ通いました。

「食べものに気をつけて上げて下さい。この子の眼は大たい胃腸のわるいせいなのだから。」

お医者さまはこうおばあさんにいいました。

「白い身の魚ぐらいに、なるべくお粥(かゆ)がよろしい。」

二三日はお粥もめずらしかったし、おばあさんが三度々々小さなお鍋(なべ)で煮(に)てくれる半(はん)ぺんやお芋(いも)がどんなにおいしかったでしょう。青い眼がねをかけて食べると、何もかも青く青く見えました。

「青いな、青いな、何を食べても青いや。」

一雄はおもしろがって、お膳(ぜん)の上を箸(はし)で突ッつきまわしていました。ちょうど梅雨(つゆ)の時分で、お天気のわるい日がよくつづきました。そのうち毎日雨ばかり降るようになりました。