轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

そふのしょさい

祖父の書斎

宮本 百合子

「東京堂月報」1939(昭和14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,184 字 · 5 页

青空文庫

こっちの本には、いろいろな珍しい英語の本があった。西洋の地獄の插画のついたのがあったり、何か機械の図解のついたのがあったり、詩集があったりした。文学の本は少くて、政治や経済の明治初期の本があった。父方の関心はそういうところにあったと思える。西洋の地獄の插画のある本や詩集などは、省吾さんという叔父のもので、そのひとはホーリネスの信者で、支那やアメリカを旅行して日本へかえると間もなく死んだ。

女学校では、勉強の方法、本の使いかたというようなことをちっとも教えない。それ故本を活々とした人間の努力の集積、それを最善につかって有益な結果をひき出す筈のものというような考えかたは、私としては随分後まで身につけなかった。

並べて見ているだけでよろこばしい亢奮を覚えるというような工合で、国民文庫刊行会で出版した泰西名著文庫をよみ、同じ第二回の分でジャン・クリストフなども読んだ。手のひらと眼玉がそれらの本に吸いつくという感じで、全心を傾倒した。

五十銭銀貨を何枚かもって、電車にのって神田へ本を買いにゆく。本を買いにゆく。それは全く感動に堪えない一つの行事であった。今でも本を買う特別な親愛の心はやはり微かな亢奮をふくんでいて独特な味いである。