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かみサマをうんだひとびと

神サマを生んだ人々

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一一号」1953(昭和28)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,108 字 · 27 页

青空文庫

年は二十九。むかしは新橋で名を売った一流の美形ですよ」

「なるほど、それは大物だ」

「大物中の大物です。料理の腕はある、行儀作法、茶の湯に至るまで確かなものです。それで美形ときてますよ。拝顔の栄に浴するだけでも男ミョウリに尽きますな」

「ウーム」

だんだんと安福軒がたのもしくなるばかり。そのうちに、老婆に代って女主人が現れた。なるほど、美しい。白痴美というのかも知れぬが、口数少く表情に乏しいから、神様の一族のような気品がある。

「ウーム。立居フルマイ、見事なものだね。武芸者のように隙がなく、しかも溢れる色気がある」

「お気に召しましたか。では、小唄なと所望あそばしては?」

「所望してよろしいか」

「それは、あなたはお客様です。所望する分には何を所望なさってもよい。イエス、ノーは彼女が選んで答えるでしょう。いずれにせよ、大切なお客様に恥をかかせやしませんとも」

「ウーム。ホントか」

安福軒は散々アジッておいて、泥酔を見すまして姿を消した。あとは老婆が安福軒のムネをうけて宜しきようにはからい、酩酊した大巻博士は女主人と一夜のチギリを結んでしまったのである。

翌朝、女が沈んだ顔をしているから、