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がくもんのどくりつ
福沢諭吉教育論集
福沢 諭吉
福沢諭吉『福沢諭吉教育論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:学問の独立、経世の学、また講究すべし、物理学の要用、教育の目的、中津留別の書、徳育如何、学者安心論、学校の説、慶応義塾新議、慶応義塾の記、中元祝酒の記、京都学校の記、慶応義塾学生諸氏に告ぐ、成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ、政事と教育と分離すべし、読倫理教科書、小学教育の事、文明教育論。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 97,278 字 · 197 页
また、人の天然において奇異を好むは、その性なり。山国の人は海を見て悦び、海辺の人は山を見て楽しむ。生来、その耳目に慣れずして奇異なればなり。而してそのこれを悦び、これを楽しむの情は、その慣れざるのはなはだしきにしたがってますます切にして、往々判断の明識を失う者多し。仏蘭西の南部は葡萄の名所にして酒に富む。而してその本部の人民にははなはだしき酒客を見ざれども、酒に乏しき北部の人が、南部に遊び、またこれに移住するときは、葡萄の美酒に惑溺して自からこれを禁ずるを知らず、ついにその財産生命をもあわせて失う者ありという。
また日本にては、貧家の子が菓子屋に奉公したる初には、甘をなめて自から禁ずるを知らず、ただこれを随意に任してその飽くを待つの外に術なしという。また東京にて花柳に戯れ遊冶にふけり、放蕩無頼の極に達する者は、古来東京に生れたる者に少なくして、必ず田舎漢に多し。しかも田舎にて昔なれば藩士の律儀なる者か、今なれば豪家の秘蔵息子にして、生来浮世の空気に触るること少なき者に限るが如し。これらの例をかぞうれば枚挙にいとまあらず。あまねく人の知るところにして、いずれも皆人生奇異を好みて明識を失うの事実を証するに足るべし。