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がくもんのどくりつ
福沢諭吉教育論集
福沢 諭吉
福沢諭吉『福沢諭吉教育論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:学問の独立、経世の学、また講究すべし、物理学の要用、教育の目的、中津留別の書、徳育如何、学者安心論、学校の説、慶応義塾新議、慶応義塾の記、中元祝酒の記、京都学校の記、慶応義塾学生諸氏に告ぐ、成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ、政事と教育と分離すべし、読倫理教科書、小学教育の事、文明教育論。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 97,278 字 · 197 页
もしも強いて自からこれを用いんとすれば、ただ苦痛不快を覚うべきのみ。これを吸煙の上達と称し、世人の実験においてあまねく知るところなり。ひとしく同一の煙草にして、はじめはこれを喫して美なりしもの、今はかえって口に不快を覚えしむ。然らばすなわちこの麁葉は、最初に美を呈したるに非ず、ただ我が当時の口にてこれを美と称し快楽と思いしのみ。すなわち人生の働の一ヵ条たる喫煙も、その力よく発達すれば、わずかに数日の間に苦楽の趣を異にするの事実を見るべし。
ゆえに天下泰平・家内安全の快楽も、これを身に享くる人の心身発達して、その働を高尚の域にすすむるときは、古代の平安は今世の苦痛不快たることあるべし。余輩のいわゆる平安とは、精神も形体もともに高尚に達して、この高尚なる心身に応じて平安なるものを平安と名づくるなり。すなわちこの平安を目的とするところの教育の旨は、人生の働の一ヵ条をも空しゅうせずして快楽を得んとするにあり。足るを知るを勧むるにあらず、足らざるを知りてこれを足すの道を求むるにあるものなり。野蛮の無為、徳川の泰平の如きは、平安と称すべからざるのみならず、かえってこれを苦痛不快と認めざるをえず。