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わたしのみたアメリカのしょうねん
私の見た米国の少年
宮本 百合子
「少年倶楽部」1920(大正9)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,773 字 · 6 页
勿論此は、其の少年一人の仕事ではないのです、日本のように欧州から遠く離れて、今度の恐ろしい大戦争の苦しみを余り受けなかった国では、左程ではありませんが、私の居りました時分の米国では、一先ず大戦乱が終った後の始末で、非常に沢山の事業が計画されて居りました。
後から戦争に加って、仏蘭西や白耳義、ルーマニア等ほど大きな損害を受けなかった米国は、出来る丈の力を振って、気の毒な欧州の人々を助けようと仕たのです。
今此処で大勢の人を集めている少年も、きっと紐育の市中の人々が集って寄附金を募集しては、米国の政府として白耳義の孤児を救済する団体に属している者でしょう。
皆が聞き洩さないように気をつけながら、少年の話を聞いています。
「皆さん、僕は、今まで生れてから、此那場所で、此那に大勢の方々に向って話した事はまだ一度もありませんでした。其だからきっと話し方は下手でしょう。僕のお母様もお前は余り上手ではありませんねと仰言いました。」
斯う云いながら、少年も聞き手も、一寸の間嬉しそうに笑いました。
「けれども。皆さん、どうぞ聞いて下さい、僕は下手でも話さずには居られない事があります。