轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川英治『私本太平記(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 页
「いいえ、私たちは、忍ばねばなりません。ただ流離の帝のご心中はいかばかりぞと、山深むほど、何やら胸がつまって来るばかりです」
「したが、ここは早や都の人目も遠い美作の山中。およそな計らいなれば、道誉一存にても、何なりとしてさしあげられましょう。お気づかいなく、仰せ出しくだされたい」
「うれしく思います」
こころもち頭を下げて、
「みかどにおかれても、道誉が供奉の内におるは、憂いの中ながら、唯一の心頼みじゃと、仰せられておられまする」
それは廉子も思うことらしかった。境遇が人の情を感じやすくさせるのでもあろう。廉子は道誉をいつかしら「頼もしい者」と、見る風であった。
また、道誉にすれば「――将ヲ射ムトスレバ馬ヲ」であった。三人の典侍のうちでも、廉子はひときわ光っている。帝の寵愛も御意も、じつはこの才女廉子の独占にあることを、彼の長けた眼はとうに見ぬいていたのである。
「ときに道誉。其許へお願いがあるのですが」
「仰っしゃってみて下さい。何事ですか」
「この三日月の宿所で、数日休息はなりますまいか」
「ま、もう幾日か、ご辛抱ねがわしゅう存じます。今宿で別れた千葉、小山らの別隊が追ッついてまいるまで」