轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川英治『私本太平記(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 页
「お。すぐまいります」
「いや、わしから行こう」
なに思ったか、道誉はもう船板を渡っている。
繋い合っているたくさんな船から船の舷を跳び移って来て、
「ちょっと、お顔を」
と、人のいない一艘の方へ、清高をさし招いた。そしてただ二人きりで、赤い夕波の映えを面に対い合って、
「隠岐どの」
と、何か道誉は、あらたまった。
「はっ」
「ご重任だなあ、これから先は」
「ぜひもございませぬ」
「察し入るよ。この道誉も、やっと肩抜けはしたが、しかし、これまでの道中では、いくたび薄氷を踏む思いをなしたことかしれん。何地にも宮方のうごめきが見られたぞ。島でも御油断は相なるまい」
「覚悟しておりまする」
「いや、悲壮なご決意だの。しかし、遥けき島のことだ。鎌倉表や六波羅向きへは、道誉がよいように披露いたしておく。あまり難しく思わぬがよい」
「ひとえに、よしなにお願いつかまつりまする」
「む。何事によれ、島便りは、いつも洩れなく、この道誉まで報らせておくが何よりだな。……それと、ここだけの話だが」
道誉はあたりを見廻した。
中央の実情にはまったく晦い隠岐ノ清高をつかまえて、この夕、道誉が、何をいていたかなどは、誰知るはずもなかったのだ。