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あきふかき
秋深き
織田 作之助
「大阪文学」1942(昭和17)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,176 字 · 27 页
それに、ほかの病気なら知らず、肺がわるいと知られるのは大変辛い。
もうひとつ、私の部屋の雨戸をあけるとすれば、当然隣りの部屋もそうしなくてはならない。それ故、一応隣室の諒解を求める必要がある。けれど、隣室の人たちはたぶん雨戸をあけるのを好まないだろう。
すっかり心が重くなってしまった。
夕暮近く湯殿へ行った。うまい工合に誰もいなかった。小柄で、痩せて、貧弱な裸を誰にも見られずに済んだと、うれしかった。湯槽に浸ると、びっくりするほど冷たかった。その温泉は鉱泉を温める仕掛けになっているのだが、たぶん風呂番が火をいれるのをうっかりしているのか、それとも誰かが水をうめすぎたのであろう。けれど、気の弱い私は宿の者にその旨申し出ることもできず、辛抱して、なるべく温味の多そうな隅の方にちぢこまって、ぶるぶる顫えていると、若い男がはいって来た。はれぼったい瞼をした眼を細めて、こちらを見た。近視らしかった。
湯槽にタオルを浸けて、
「えらい温るそうでんな」
馴々しく言った。
「ええ、とても……」
「……温るおまっか。さよか」
そう言いながら、男はどぶんと浸ったが、いきなりでかい声で、