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あきくさのみ

秋草の顆

佐左木 俊郎

「今日の文学」1931(昭和6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,856 字 · 8 页

青空文庫

唖だって、従兄弟同士なら、手真似で語り合っているわよ」というような非難をあびせるのであった。

*

私と峻とが、ひどく面喰わされたのは、妻の姪の貞子であった。貞子は、峻よりも約半年ほど後から私の家に来て、峻と同じように私の家から女学校へ通うことになったのであるが、十七というのに私の前へ来て「叔父様! では、どうぞお願いいたします」と言うのである。私は別に用意があるわけでは無かった。その咄嗟の間に何か言おうと考えたのであるが、咽喉の奥の方で「う、う、あ」というように、結局は咽喉を鳴らしただけで赤くなってしまった。ちょうどそのとき運悪く、峻も私の傍にいたのであったが、貞子は峻の前に手を突いて「どうぞ宜敷くお願いいたします」と挨拶をした。峻は真赤になって何遍も頭をさげるようにしながら「はい」と挨拶を返した。貞子は急に笑い出してしまって「あら! はいだって。おかしいわ。ねえ、叔父様!」と言うのである。私と峻とは、この能弁家にすっかり弱らされた。

*

私は、妻と貞子との性格の影響で、峻の性格が少しずつ変わって行くに相違ないと思っていた。