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かがくとかがくのかんねん
科学と科学の観念
戸坂 潤
「経済情報・政経篇」1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,542 字 · 10 页
科学が政治と同様に専門観念ではなくて素人観念らしいということは、之だけで略々見当がつこう。カントは進歩的な哲学は、「学校概念」によるべきではなくて「世界概念」によるべきであると云ったが、科学というものについても亦、世間的観念が支配することが、進歩的であるように思われる。
この説明で不満ならば今日科学は、ただの科学として持ち出されているのではなくて、全く文化問題として持ち出されている、という点を私は注意したい。元素の人工破壊も、「科学とは何か」という設問では、物質観の進歩、新エネルギー源の着想、等々という人知の発達、社会厚生、其の他其の他の問題である。それは思想や社会の事件である。処で一体、文化に対して素人であっていい人間がどこにあるだろうか。人間性と文化とは直接に一態である。だから科学の文化上の観念は、正に素人観念でなくてはならぬ、ということになろう。文化ということは率直に云えば、つまり本当の常識ということである。
そればかりではない。科学は全く民衆のものでなければならぬ、というのが、今日の要求である。文化というからには、又政治と云うからには、民衆のものであるのは当然だからである。