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かがくひはんのかだい
科学批判の課題
三木 清
「新興科学の旗のもとに」新興科学社、1928(昭和3)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,229 字 · 40 页
)ναι(知る)という語もまた同じ由来をもっている。形相とは時間空間を超越した事物の永遠なる本質の謂である。かくのごとき本質の直観があたかもギリシア人にとって最高の認識であった。しかるに実践はこれに反してつねに空間的時間的に規定された存在に関係する。同じ事情はアリストテレスが学問をもって原因についての知識であると定義した場合にも何ら異なるところがないであろう。この場合ひとは原因の概念のもとに近世的な意味を持ち込んではならぬ。近世においては原因は結果(ドイツ語では Wirkung)に対してこれを惹き起す、働き出す(wirken)という意味をもっている。そこには或る力の関係、ヒュームのいう propter hoc の関係、したがって或る実践的な意味が含まれている。かかる力の概念が人生論的なものとして学問の構成の中から排斥される場合にあっても、因果関係は法則性の概念と結合され、しかるに法則性の概念は、後にも述べられるように、究極は人間の実践とつながった認識の概念である。これとは異なってアリストテレスの原因は力あるいは法則とは係わりなく、それ故に何ら実践的意味を有しない。