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かがくひはんのかだい

科学批判の課題

三木 清

「新興科学の旗のもとに」新興科学社、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,229 字 · 40 页

青空文庫

もとより原因というからには存在は過程として捉えられてはいるが、しかしこの過程はつねにそれ自身において完了し、完結した過程として、したがって未来に向う過程としてでなくかえってつねに現在的なる過程として理解されている。アリストテレスは不終結的な、テロス的ならぬ過程に一般に「過程」の意味を拒みさえしているのである。原因とはそれ自身において完了した過程としての存在の構造そのものを解明すべき始点、したがってまた終点以外の何物でもない。それ故に過程的なるものの解明はいつでも常住的なるものへの方向においてなされている*。過程はアリストテレスにあっては存在の優越なる現在性(παρουσ※α)を示す他の表現である。ところでこの現在性こそまさに人間の観想的態度と関係する。否、最も注意すべきことは、アリストテレスにあっては実践的なるものの分析そのものさえもが究極は観想的なるものへの方向において行なわれているということである。彼は人間の実践的活動をすべてテロス的活動、したがってそれ自身において完結した過程として考える。けだしテロスとは過程の最初に在るものと最後に在るものとが等しきものである。