轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かがくしゃとよみせしょうにん
科学者と夜店商人
海野 十三
「科学画報」1929(昭和4)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,858 字 · 8 页
というのは眩しい軒並の夜店が、そこのところだけ二間ばかりも切れていて、そこだけ歯の抜けたように薄暗らかった。彼は学生時代に亡ったD博士とファラデーの暗界の研究にアッシスタントをつとめていた昔を思い浮かべて、なつかしげに眼の前のダーク・スペースの方を見ると、其処に汚い着物を着た一人の男が、バケツをかかえるようにして、しゃがんでいた。
その男は下を向いて何かブツブツと独言を言っていた。多分、電球が切断してこんなに真っ暗になっているので実験――イヤ商売が出来ないで悲観しているのであろうと、彼科学者は思ったので、その男の傍へ近づいて、さて言った。
「君、実験が出来ないで弱っているのかい」
「実験はやっています」
とその男は平然と答えてバケツの中を指した。それは不思議な黒ずんだ色を持った液体であった。はじめは液面は平かに静止していたがややあって、すこし表面波の小さいのが現れたと思うとポッカリと真黒い二糎立方位の物が浮かび出でた。よくみると、それは小さい鵜烏であった。全身は真黒で、嘴だけが朱色に輝いていた。その烏は科学者の方をジロジロと見廻しているようであったが、呀ッという間もなく液体のなかにもぐってしまった。