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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
なる程夫々の専門の科学領域に横たわる根本問題に関して、極めて立ち入った又卓越した分析批判が与えられている、夫は人の知る通りだ。だがそういうことと、夫々の科学をそのものとして一纏めにし、之を諸科学全般との関係に於て考察することとは別で、後者は、必ずしもこのその領域のエキスパートとしての彼等が尊重した問題ではなかったように見える。だからここからは、所謂「科学方法論」とか又夫を中心課題とした所謂「科学論」とかは、充分の展望を以て現われる必然性を必ずしも見出し得なかったことは、無理ではなかった。
* W・ヴントは近代に於ける実証的エンサイクロペディストの一人に数えられ得る人である。その『論理学』に於ける諸科学の比較研究――科学の分類――は一応尊重に値いする。
この意味に於て注目すべきはK・ピアソンの『科学の文法』(K. Pearson, The Grammar of Science, Part ※(ローマ数字1、1-13-21). ※(ローマ数字2、1-13-22)., 1911)である。マッハの認識理論の系統を引く彼は、ヴントなどとは異って、イギリス風に消化された思想と表現とによって、この科学概論を書いた。