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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

説明の何よりの特色となるものは、原因と結果との連鎖を与えることだ。つまりそうした因果的な時間的な統一を事物に向って与えることである。処が解釈はそうした因果関係を求めることを目的とはしない。その代りに解釈が齎すものは、諸事物の内部相互の間に横たわる構造連関なのである。因果関係のような機械的関係は、生きた精神、生きた歴史、の認識の方法とはなり得ない。歴史は説明されるべきではなくて解釈されるべきだ、というのである。

因果関係は、云うまでもなく自然科学の認識目的の内容をなす。ディルタイによれば、今日の自然科学は自然を解釈理解するものではなくて、全く之を説明するものである(自然の解釈というものがあるとすれば、夫はアリストテレスの『物理学』のようなものだろう、とディルタイは云っている。ベーコンも亦新しい「自然の解釈」を哲学の根本テーマとした)。――かくてディルタイによれば、自然科学と精神科学とは、その方法に於て、完全に相異り相距たっている。だから例えば、自然科学では真理の一義的な厳密な決定を与えることが出来るに反して、精神科学では高々卜占的(divinatorisch)な予言や推定しか出来ないという。