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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

現に今までそういう約束に従って来たばかりでなく、今後も亦そういう約束の下に立つだろう。この点から云って、自然科学に於ける対立的な様々の立場も、自然科学そのものの云わば各流派の建前の相違までをも云い表わすものでは決してない*。この建前上の一致が、何より自然科学の科学としての信用を支えているのである。

* 自然科学に於ける諸領域間の対立、従って夫から導かれがちな自然科学意識そのものの対立、それから、アカデミックな伝統に基くやり口やテーマの選択やに於ける対立、こう云ったものは、まだ立場の相違にさえ数えられない、況して自然科学そのものに就いての各種の建前の相違などにはならぬ。

処が社会科学に於ては、事情は全く之と違っている。少なくともブルジョア社会科学とプロレタリア社会科学との間に於て、又ブルジョア社会科学相互の間に於て、そうなのである。歴史学に就いて相互に相容れない建前があることを吾々はすでに見た(詩的・教訓的・史料的・其の他の歴史記述)。経済学に於ける古典正統学派(A・スミスやリカード)や歴史学派(シュモラー)、形式主義(C・メンガー)や主観主義(オーストリア学派)、等々の間の対立も亦有名である。